「横尾忠則 千夜一夜日記」 [YB082]

「横尾忠則 千夜一夜日記」 [YB082]

販売価格: 1,980円(税込)

重さ: 383g

商品詳細

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商品ID:YB082
商品名:「横尾忠則 千夜一夜日記」
著者/横尾 忠則
発行/日本経済新聞出版社 (2016/6/17)
体裁/47判、仮フランス装、472ページ

何にもとらわれない 自由
何ごともまとめない 自由
横尾さんは生きた結び目。個性的な表現者たちがここに吸い寄せられ、行き交う。横尾さんはぶよぶよのスポンジ。昼は好物と幻視と猫とのつきあいで、夜は夢のほてりと古傷の痛みで、膨らんだり縮んだり。その日記は、稀代の、生身の史書だ。
鷲田清一(哲学者)


 昼の人生、夜の夢。虚実一体が「私」80歳を迎える美術家が毎日綴った「千」の昼と夜絵を描く。散歩する。本を読む。蕎麦屋とぜんざい。アトリエにやってくる人と話す。猫と戯れる。躰の悲鳴を聞くとすぐに病院へ。小旅行で卓球三昧。鮮明な夢と不眠……
80歳を迎える今の横尾が綴った1036日の日常。虚実一体が「私」であると公言する美術家の生活は規則正しい反復でありながら、時に生と死の境界を越えて、ピカソ、キリコ、デュシャンから、現存の美術家、ミュージシャン、作家、医師、メダカや蟻まで様々な表現者が行き交う交差点になる。そこに新たな作品が生まれる。
 常にからだの声に耳を傾け、永遠の未完を指向する。
「嫌なことはしない、好きなことだけをする」と隠居宣言をして以降の「老い」への向き合い方は、アートのことを綴っていてもとても身近だ。それは食べることや眠ること、愛猫への想い、公園でのひなたぼっこなど、日常と密接につながっているからであり、生と死、夢と現実の境界が実感としては溶けていく状態を受け入れることでもあるからだ。シリアスでいながら笑いを誘い、どうでもいいことから深遠な箴言が導かれる自在さは、日記というスタイルならでは。どこから読んでも、何ページ読んでもその神髄に触れられるという意味では稀有な書物である。
 系統だっていないため時折思い出す過去の秘話も満載。たとえばYMO(イエローマジックオーケストラ)の初期のメンバーだったかもしれないこと、デヴィッド・ボウイが影響を受けた人として来日時には会いに来たことなど、本書には事欠かない。書くこと自体が現実の虚実皮膜をつむぐこと、日記ゆえの面白さがここにある。